日本では2017年12月度に初発膠芽腫の成人患者への保険適用が承認されて以降、累計1,000症例以上、アメリカ・ヨーロッパを中心として全世界でのべ25,000例を超えました(2022年6月時点)。
この治療はEF-14という臨床試験でその有効性が示されました。初発膠芽腫患者695人を対象としてオプチューン+テモゾロミドの併用療法を、テモゾロミドの単独療法と比較したところ、オプチューン+テモゾロミドの併用療法を受けた患者は、テモゾロミドの単独療法を受けた患者と比較して、新たな副作用を伴わずに全生存期間の有意な延長が証明されました(テモゾロミド単独療法16.0ヶ月に対してオプチューン+テモゾロミド併用療法20.9ヶ月)。オプチューン併用治療を受けた患者が、テモゾロミド単独療法を受けた患者と比較して、より長期にわたってQOLを維持できたことも示されました。この結果に基づき、欧米ではこの治療法が行われるようになり、日本でも2015年に薬事承認され、2017年12月より初発膠芽腫への保険診療の認可がおりました。
オプチューンは、電場を作り出す粘着性シートに取り付けられたセラミック製ディスクが9個搭載された電極パッド(アレイ)を、頭髪をきれいに剃った頭部に4枚貼り付けることで脳内に治療電場を作り出し、急速に増殖を繰り返す膠芽腫の細胞分裂を阻害することで、腫瘍細胞を抑えるように作用します。アレイは週に2~3回交換します。一人でアレイを貼り替えるのは難しいので、治療協力者の補助が必要です。基本的に自宅で行う治療です。バッテリーで作動する携帯タイプの医療機器で、昼夜を問わず継続して長時間使用することができるように設計されています。可能な限りの継続的治療が推奨されるため、頭皮の副作用を避けて、できるだけ継続して(少なくとも4週間以上の継続的使用 / 使用時間率月間75%以上)治療を続けることが大切です。
オプチューンの主な副作用は、アレイの貼付箇所の皮膚炎症です。臨床試験では約半数に皮膚障害が生じたことが報告されましたが、症状はいずれも軽度から中程度のもので、局所的な対応や治療を一時的に中断することで対処できました。化学療法などで見られる吐き気や食欲不振、血球数の減少などの全身性の副作用が少なく、体に負担の少ない治療法です。稀に頭痛、脱力、転倒、疲労、筋攣縮、皮膚潰瘍が生じることがあります。
基本的に患者様のご自宅で治療を行います。治療開始時に機器の取り扱いについて外来で医師から説明します。機器のサポートはノボキュア株式会社が行います。
費用は初発膠芽腫に限り、保険診療の範囲内で治療が可能です。
※費用は高額療養費制度の対象になります。
健康保険や国民健康保険加入者が、同じ月内に同じ医療機関に支払う医療費の自己負担額(食事の費用・自費分は除く)が高額になった場合は、限度額の認定証の交付を受け、入院事務担当者にご提示いただくと、病院窓口での自己負担額が限度額までの金額となります。
詳しくはお問い合わせください。
当院ではノボキュア社による認定講習を修了したスタッフがおり、積極的にオプチューン(NovoTTF-100Aシステム)治療に取り組んでいます。詳しくはお問い合わせください。
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